傍観者効果
既にさまざまなメディアで取り上げられているため、ご存じの方も多くいらっしゃるとは思いますが今一度、紹介します。
傍観者効果とは、調子が悪そうな人や道ばたで倒れている人がいたとしても、その周囲に自分以外の人間がいる場合、救援行動が起こしづらくなることをいいます。
有名な話として、ニューヨークの住宅街にて、深夜に女性が暴漢の手によって襲われていた時に、目撃者であったアパートの住人らは援助行動をとらないばかりか警察への通報もせず、30分以上の犯行の末に女性は刺殺されてしまったというものがあります。
このときの目撃者は38人ともいわれています。
詳細は以下より (Wikipediaへ移動します)
傍観者効果は集団心理の1つとされ、以下の特徴があります。
- その場に自分以外にも目撃者がいると、救援行動をとりづらくなる
- さらに目撃者が多ければ多いほど効果が高まる
傍観者効果が発生する要因
傍観者効果が発生する心理背景として、次の3つの要因があります。
これから1つずつ解説します。
- 責任分散
- 多元的無知
- 評価懸念
責任分散
周囲に多数の人間がいることで、個人の責任感が低下すること。まさに傍観者効果の本質といえます。
「自分が助けなくても、ほかの誰かが助けるだろう」という人任せにする心理を表しており、当事者意識が希薄となっています。
多元的無知
援助を要していそうな人間を確認していても、周囲の人間が誰も援助行動をとらないことで、大したことではないだろうと認識をあらためてしまうこと。
多数の人間がいることで、自分から行動できず他人の行動を目安にしてしまいます。
たとえば、道ばたで横になっている人がいたとして、あなたがそれに気づいたとしても周りの人間が「あの人、大丈夫かな?」「いや、あれは酔っ払いが寝てるだけだよ」と話している声を耳にしてしまうと、その人に声をかけづらくなるのではないのでしょうか?
評価懸念
正しい援助行動ができるのかという不安や失敗したときの周囲からの印象を気にして、行動が抑制されてしまうことをいいます。
救助したい意思はあったとしても、「もし自分が関わってしまったことでより悪い状況になってしまったら」と考えがよぎってしまうと、不安になってしまうのです。
- 車の通行があるところだが、要救助者を移動させてもいいのか?
- 電気ショックを必要とするのか?AEDを正しい手順で扱えるのか?
- 胸骨圧迫や人工呼吸は必要なのか?
- 出血があるが、手持ちのもので止血できるのか?
要救助者の近くに、自分しかいない場合ですと悩む前に行動できたり、悩みながらも行動できたりすると思われますが、目撃者が多いと他にも助けられる人がいるのではと周りを見渡してしまい行動が遅れてしまいます。
援助に至るまでの流れ
このように実際に事態が発生してから、援助行動にうつすことができるまでには心の中では5つのハードルを乗り越える必要があり、いずれかの選択肢でYESが選ばれなくなると援助をすることはありません。
最期に、もし自分が援助を要する状況に陥った時の対策について説明します。
傍観者効果を踏まえて、要援助の際は特定の人物に呼びかける
ここまでは、傍観者効果が発生するとされる「要救援者を見つけた立場」のお話でしたが、自分が急な体調の悪化等によって、要援助者となってしまった時にどのようにすべきなのでしょうか。
周囲には多数の人間が、自分の状態を目撃していますが彼らの心理には傍観者効果が働いており、お互いに様子を伺っています。
そんなときは要救援者自らが「特定の個人に呼びかける」のが最も効果的といわれています。
直接指名された対象の人物が当事者意識をもつとともに、周囲にも前述した「多元的無知」が広がることを防ぐことができると思われます。
あらかじめ、人間の心には傍観者心理が働くことを踏まえて、いつでも当事者意識をもっておくことも大切です。
コメント